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  • 執筆者の写真keiichiroyamazaki

管弦

クラシックを聴いたことのない彼氏と一緒にオーケストラのコンサートに行くならどんな演目を選んだらよいか。そんな話題があったので、めずらしくオーケストラをよく聴いている。普段は器楽の独奏や室内楽が多いのだけど、通勤の電車の中で豪華なオーケストラを聴くのもなかなか気分がいい。もともと興味がないひとに楽しんでいただくのは簡単でないけれど、せっかく恋人のご趣味なら一緒に楽しめたら幸せだろうし、だめでもともと、考えてみる。


聴いたことがないのなら、個々の楽器の音をよくご存知ないと思われる。オーケストラの響きは大部分が弦楽によって成り立っていて、時代が下るとともに音色が変化に富んでくると言ってよい。とはいえ現代までくるとずいぶん趣が変わってくるから、はじめてのオーケストラにおすすめすることはないだろう。モーツァルトやベートーヴェンはとても好きだが、こうした見方からすればもう少し、ほどほどに新しめのものがいいような気がする。


最初に思いつくのはフランスを中心としたバレエ音楽だ。「ダフニスとクロエ」、組曲の2番はどうか。「夜明け」の冒頭で圧倒できればすばらしい体験になりそうだがすこし気難しいか。旋律がもっとくっきり親しみやすいほうがよければ「ボレロ」だろうか。グノーの「ファウスト」、ドリーブの「コッペリア」「シルヴィア」も素敵だ。もちろんフランスに限る必要はなくてチャイコフスキーもすばらしい。3つの中なら「くるみ割り人形」がいいように思う。どれも彩り豊かで洒脱、華やかでデートに合う音楽だと思う。


子供のころ、生まれてはじめて買ったCDはビゼーの「アルルの女」と「カルメン」だった。2枚目はグノーとオッフェンバック、3枚目がエルガーで、レスピーギ、チャイコフスキー、自分が最初に触れていた音楽を見つめ直しているようでなつかしいし、チャーミングなお二人が一緒に過ごす時間を思って聴き、その姿を想像するのは、とても楽しい。

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