​A B O U T

撮り始めたときはもう30代も半ばにさしかかっていましたから、確か2013年頃だったと思います。ものを伝えるというすぐれた機能と、ビジュアルの快楽と。写真はその狭間にあって多様で複雑な問題を示してくれます。美しさは意味から自由になれるのか。それは誰のものか。写真と出会う前からずっとそんなことを考えてきたような気がします。

誰もがポケットにレンズを携え、それが世界中に開かれ繋がりを持ち、私たちは一見ビジュアルなものを満喫しているかのようですが、そのほとんどがディスプレイを通して見られる以上それは擬似的な、希釈された体験であることを忘れるべきではありません。

また、ひとたびデータがweb上にアップロードされたが最後、それが誰の手によって転用、改変されるかわからない場所に半永久に保存され、誰にもコントロールすることができないリスクは計り知れませんし、自由であるかのようで息苦しい、グロテスクな時代であるとも言えます。

ですから、私の写真は秘密。ギャラリーで、あるいは直接個人的に、プリントされた現物を実際に目の前にいる方とだけ共有できればそれでよい。どなたか人物をお撮りすることがあったなら、当人が望まない限り誰の目にも触れることがない。だから安心できるし、その体験だけで十分豊かであるように思うのです。

どこかで見て興味を持っていただけましたら、気軽にお声かけくだされば嬉しく思います。

​2019年5月7日

<プロフィール>

山﨑慧一郎

1979 年生まれ。國學院大學文学部哲学科卒。

記号と認識をめぐる観点から2013 年頃より写真を独学。小さなモノクロプリントを中心に制作している。

現物主義、秘密主義を旨とし、プリント以外の形で作品を公開しない。

2020 年11 月 個展「無言歌」 ナダール(南青山)

 
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