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執筆者の写真keiichiroyamazaki

はざまの季節

この季節は着るものに困る。ニットを着るには早いし、半袖では心許ない。それなら長袖かと言えばそれも中途半端で、昼間はまだまだ暑かったりもする。毎年困るのだけど、この期間はとても短いからなんとなくごまかしてしまって、きっとまた来年困るのだろう。進歩がない。


最適解はわかっていて、それはジャージ、トラックジャケットだ。ちょうどいいジャージがあれば夏に着ていたものの上にただ羽織ればよいだけで簡単なのだが、常時探しているもののなかなかこれというものが見つからず悶々としている。濃い色のデニムに合って、やや細身で、垢抜けすぎず野暮すぎない、そんなクラシカルな一品を根気よく狙っていきたい。


中高のころは秋冬の体操着が灰色のスウェットで、上級生が以前授業で使われていたというジャージを着ているのが羨ましかった。濃紺の地に何故か細いラスタカラーのラインが入った旧ジャージへの憧れは今でも奥底に燻っているが、きっと今現物を見たなら幻滅したりするのかもしれない。手に入らなかったからこそ今なお美しい。それでいいのだ。


悩んだ末今日はドレスシャツを着てきた。個展のプリントも終わり、ライブに向けて調整をし、目まぐるしくはあるが充実している。忙しさにかまけて楽な格好ばかりしていたから、襟のついたものを着るのもしゃんとするようで、心地よい。ぐっと集中してたくさんのものをどんどんこなしていくのが私はどうも苦手だが、あまりだらだらしすぎないようにしなければ。


年齢を重ねて、問題は複雑になり、肉体は衰えてゆく。変化は必然なのだから、せめて臆さず、顔を上げていこう。

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