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  • 執筆者の写真keiichiroyamazaki

まなざし

前回から5年近く経ってしまったから、セルフポートレートを先日撮った。すっかり人や物を撮ることが億劫になってへたくそなものだが、どうにか使えそうなカットが2つほど確保できたから、これでしばらくは安心だ。とはいえ顔写真を公開するつもりのない私に使う当てはなく、せいぜい万一のときのため、というくらいだろう。


他人の顔を見るつもりでその斜めの横顔をじっと眺めてみる。さほど老け込んだ感じは今のところないが、眼差しの印象が少し異なる。5年前よりも穏やかではあり、優しくないことはないがどこか冷やかで、憂いや悲しみ、疲れと言うほどに暗くはなく、虚ろとまでいかずともどこか諦めというか、何らかの虚無に触れたような雰囲気がある。濁ったり腐ったり、皮肉めいていたりはとりあえずしていないようだ。幸いにも。


それにしてもこいつは何を見ているんだろう。こんなにまっすぐな眼をして、独りでなくては見えないものを追いかけて、いったいどこに行くつもりだろう。泣きたいときはなかったか。手放したくないものはなかったか。


聞いてみたいことはいくらでもある。

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