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  • 執筆者の写真keiichiroyamazaki

We'll Meet Again

スターバックスで読書をしていたら突然親しみのある歌声が聴こえて驚いた。Vera Lynnは二次大戦時にイギリス国民の心を支えたシンガーで、何年か前にたしか、100歳過ぎで亡くなった。かなりのご高齢になってもたまに歌っていたようで、マイクを手にニコニコしている姿が微笑ましかった。


艶やかさ、華やかさと気品、落ち着き、親しみやすさが同居した声がとても好きで、若いころ彼女のアナログレコードを探して一時期お店を回った。分類上やむなくジャズのお店に置いてあるもののジャズファンには注目されない、そんな扱いになっていて少し不憫だったが、本国では国民的なスターなのだから気にするまい。新宿のどっぷりマニアなレコード屋で2枚見つけて、喜んでレジに持っていったら店主に「めずらしいものをお探しですね」と言われたのがなつかしい。


大戦時のイギリス。海峡の向こうはナチスドイツにあっという間に蹂躙され、市民はどれほど不安だったろう。劇薬の老チャーチルが頼もしかったのかどうか、世論の様子はわからないけれど、Veraの歌声が勇気を与えたであろうことは、年月も海も隔て当時の敵国に生まれた自分にだって、ありありとわかる。


なんてすてきなことだろう。

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