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  • 執筆者の写真keiichiroyamazaki

停滞

ふいにエアポケットに落ち込むような、何も手につかず、力も入らず無気力な状態になることがある。なるべくそうならないよう日頃から身体を動かして、身体主導で自己の全体をコントロールするようにしているけれど、それでも、風邪をひくようにふっと陥ってしまう。おかげで飲みに行く気もしない。

今の自分のライフスタイルを考えれば理由はだいたいわかる。社会生活の中に充実感や喜び、リアリティを見つけられないのだ。人と会えば楽しいし、仕事だって嫌いじゃない。それでも、一度知ったら他のことに価値をまったく見出せなくなるような、そんな場所を私は何度も見たことがあって、それは掛け値なく幸せなことではあるのだけれど、一転、空虚さを招くこともある。

見苦しいこと、品のないことが何より嫌いだから、薬の切れたジャンキーや、色恋で身を持ち崩すような、そんな振る舞いをしないよう独りで見栄を張る。悪い状態のときに自分を支えるものはそんなくだらない、吹けば飛ぶようなハリボテのプライドくらいしかない。


テーマは孤独か?とたまに訊かれるけれど、全然違う。孤独は素材だ。



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