top of page
  • 執筆者の写真keiichiroyamazaki

日中はエチオピア、日が沈んでからはパイクプレイスロースト。食事もしたければハムとチーズの石窯フィローネに合わせてスマトラ。近所のスターバックスでは専らフレンチプレスで淹れたコーヒーをいただく。クリアなドリップコーヒーもいいけれど、濁って、まろやかで、複雑で、粉っぽくてなんとなく田舎風な雰囲気が好きだ。などと話していたら専門家の方から「田舎風だなんてとんでもない。豆の状態がそのまま出てごまかしの利かない淹れ方です」と言われた。なるほど、漉してしまうところが少ないし、透過でなく浸漬だから、ネガティブなところがあればそれもとことん出されてしまいそうなことは素人でもなんとなく想像できる。

空いている時間帯のあるスターバックスは珍しく、それが近所にあるのはほんとうにありがたい。本を読んだり、たまにはブログを書いたり、メールの返事をしたり。香りを楽しみながらゆったり過ごす時間はとても好きだが、家ではほとんど淹れることはなくて、牛乳を温めてさっと飲んでしまう。プレスならそう失敗しないはずで我ながらずぼらだと思うが、豆の管理のこともあるし、たぶんこれからも変わらないだろう。


近頃痛感するのは、私はつくづくフィジカル偏重の人間だということ。まず身体を整えて、それから思考や精神状態が研ぎ澄まされてくる。バランスの取れた状態でないと何をやっても繋がっている感じが得られなくて、捗らないし、楽しくない。だからお酒も酩酊するほどは決して飲まない。検査で2週間ほど入院したことがあるけれど、点滴が気になるし、寝かされて身体が利かなくなりそうで一冊の本も読めず、朝から夕方までひたすら院内を歩行していた。この前も親不知を抜いて、その不快感が残っている間はほんとうに何も捗らなかった。

急いでいるつもりはないが、制作については手を止めないようにしている。数は少なくてもいつも作っていたいし、自己を丸ごとそこに同化させていくには頭が冴えてなくてはいけないし、そのためには身体もキレてなければならない。私は若者でも老人でもないけれど、この先、いつまで今のような感覚で制作が続けられるかは見当がつかない。どういうスピード感で身体が弱くなって、その結果思考が散漫になり、制作に影響してくるのかが自分でもわからないから、できるうちに弛まず作っていこうと思っている。私は私の作品ためにしか作るつもりがないのだから、出し惜しみをする理由もない。

朝のひとときは、だから今の私にはとても大切なもの。心身を整えて、すべきことに集中する準備の時間だ。

bottom of page