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  • 執筆者の写真keiichiroyamazaki

反抗

つまるところ、再構築ということだ。


自己と他者が共有できるのは記号だけであって、その「指し示すもの」は伝わらない。自己と他者の間には記号と、そのうしろに「もの」があって、だから記号から私が脳内に再現するものと、他者が再現するもの、そして「もの」自体には必ず差があって、ぴたりと一致することは絶対にない。その差を知りもしないことがいつの世においてもひとの愚かさと思うが、搾取が容易でなくなった現代、経済の暴力はその矛先を人々の精神にまっすぐ向けていて、それに抗う力を人はほとんど持たない。より切実で、絶望的だ。


美は外面ではないし、内面でもない。その間に生まれる複雑さに対して個々が抱く驚きの多様さ、豊かさであって、それは簡単に共有できるものでもなければ金に換えられるものでもない。記号を目安にものを切り取り、それと自己を結ぶものを見る。乱暴に切り落とし、剥ぎ取って意味にして残るものは何もない。


独りになったって、私は戦う。

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