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  • 執筆者の写真keiichiroyamazaki

Donde Estas

仕事中に流れるラジオからなんとなくJoni Mitchellを聴いていて、ふいにある人の歌声を思い出し、CDを引っ張り出してみる。


夜、めずらしくTVをつけぼんやりと「世界の車窓から」を観ていた。ヨーロッパの、どこだったろう、広がる森を見下ろす高台を近未来的な特急列車の走る、ドイツだろうか。長閑で雄大な、しかし西洋らしく整然として威厳を感じさせる風景とともにのびやかな女性ヴォーカルのダンスチューンが流れていた。画面の右下にタイトルとアーティスト名が現れて、程なくして消えた。

その頃はまだSNSをやっていて、せっかくのご縁と公式ページでもあるかと検索してみると無造作に個人アカウントが存在したから、メールを送っておいた。自分は日本人で、音楽をやっており、たまたまTVで流れていた貴女の歌を聴いたこと。「世界の車窓から」は長い歴史を持つ美しい映像の優れた紀行番組であること。貴女のダンスチューンはフリーソウルのようなファンクの要素とサンバのフィーリングを併せ持っており、スリリングなチャレンジで共感したこと。 その後返事と追加申請が来て、彼女の活躍を見て刺激をもらったし、よくメールをした。お互いの好きなボサノヴァのこと、映画のこと。現代に音楽を作ることの難しさ。売れ具合も似たようなものだったようだから、話が合った。英語は下手な私だったが、楽しい時間だった。

雨で思考が過去に向くことがある。あらためて聴くその曲はルーツへの敬意と愛情が窺えて、しかし粗削りでもあり、若々しかった。


貴女は今、どこにいますか?

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