keiichiroyamazaki
- 2023年11月8日
原体験
たしか中学の1年か2年のときだったと思うが、赤坂のサントリーホールにモーリス・アンドレを聴きに行った。街並みといい、ロビーの煌びやかさといい、子どもには何とも落ち着かない場所だったが、最前列に近い下手側の、音をよく聴くよりもよく見ることに適したいい席で、食い入るように見た。...
keiichiroyamazaki
- 2023年10月19日
道
ライブを終えて心穏やかな日々。その場で一発勝負なんとかしなければならない音楽と違って、個展は愚直にこつこつやりさえすればよく、プレッシャーは特にない。準備はほぼ済んでいるし、ただただ楽しみだ。ライブは個展の余興のようなものだったのだけれど、ステージに立つことは遊びでは済まさ...
keiichiroyamazaki
- 2023年10月10日
御礼申し上げます
お忙しい中ライブにお越しいただいた皆様、残念ながらお会いできずとも気にかけてくださった皆様、あいにくのお天気でしたがありがとうございました。 何の実績もない人間からの突然のうさんくさいオファーにも関わらず快く受けてくださったジョアンのマスター、そして共演のお二人にも心から感...
keiichiroyamazaki
- 2023年9月30日
満月の翌日に
人はそれぞれに「枠組み」を持つ。それは生き様とも、考えとも、価値観とも、言葉とも、感性とも、様々に言い換えることができる。それは己を縛る鎖であり、一方で犯すべからざる領分であり、ひいては己そのものである。 それぞれが異なる「枠組み」を持つのだから軋轢が生じるのは必然で、いか...
keiichiroyamazaki
- 2023年8月24日
陰と陽
乱暴な言い方であまり好きではないが、東洋的と西洋的、ひとの理性や認識のあり方にもそうした違いがあるように思う。そして前者は観念が切り取られる前の全体、無や空と言ってもよいが、そうした言語以前のものを重んじるのに対し、後者はそれを切り取り明らかにする、いわゆる分節をこそ重視し...
keiichiroyamazaki
- 2023年8月4日
相棒たち
高校生の頃は所謂ハイテクスニーカーが隆盛で、白黒のエアマエストロ'96や、同じくNIKEのクロノスという青いスエードのシューズを履いていた。楽器の練習に明け暮れた高校時代と赤貧の大学時代の足元を支え続けて、最後にはほんとうにボロボロになって、名残惜しくお別れをした。...
keiichiroyamazaki
- 2023年7月4日
追憶の向こう
音楽をやめたのはもうずいぶん昔の話になるけれど、それから生活が一変した。独りで悶々と考えて、仕事をして、成り行きで個展をやるようになり、それが音楽を通してやってきたことと繋がっているのだと知り、何年も経って、それを確認したくて、安物の楽器を買ってきて、不自由ながらびくびくと...
keiichiroyamazaki
- 2023年5月30日
調整
先月友人のライブに行ったらシットインのお誘いがあって、恐縮ながらご一緒させていただいた。そのときピストンボタンに嵌めてある貝の接着が剥がれるというアクシデントがあり、帰宅してから付け直したのだが、吹き心地と音色が変化してしまった。...